電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ 食メディア研究会
Multimedia on Cooking and Eating Activities, Human Communication Group, IEICE
''電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ''~ ''第三種研究会 「料理メディア研究会」'' ''第二種研究会 「食メディア研究会」'' 料理は古来,生きるための手段としてだけではなく,人間の健康を支える源として,また,文化を醸成する人的ネットワーク形成の手段として大きな役割を果たしてきました.一方で,料理を取り巻く環境は大きく変化し,ユビキタスネットワークが進展する中で,今まで連携しえなかった食器や食材,家電機器,健康関連機器,携帯などのウェアラブル機器がネットワークの構成要素となり,新しい料理支援や健康増進と連動したサービスを創出する期待が高まっています.しかしながら,まだ,料理支援環境の体系化やインフラとしての共通プラットフォームができていないのが現状です. 料理メディア研究会は,2006年11月にヒューマンコミュニケーショングループ第三 種研究会(初代:美濃導彦委員長)として,料理という分野を情報学の観点から体系 化し,共通プラットフォームや新しいサービスを創成するとともに,コミュニケー ション科学の本質的な問題を議論する場として設立された.4年間の活動を通して, 料理メディアに係る現在の研究活動は,第3種というクローズドメンバーによる形式 での活動から発展し,オープンな形式での研究会活動に近くなってきており,第2種 研究会への移行が適している.また,研究会の範囲は,料理に関するメディアだけで なく,食全般に関するメディアに広がっている.そこで,研究会名称も,活動に実体 に合ったものとして,「食メディア研究会」に変更する. 今後,食メディア研究会として,オープンな活動を主体とした第二種研究会として の目標を掲げ,食メディア分野の研究を推進していく.第二種研究会としての目標 は,コア技術の強化,新しいサービスの創成,国際コミュニティの醸成の3つとす る.コア技術としては,「食」という分野を情報学の観点から体系化する取り組みを 強化するとともに,「食メディア」としてコミュニケーションを科学する研究もさら に進めていく.新しいサービス創成としては,健康分野,食品分野.食育分野,福祉 分野,環境/エネルギー分野,安全性に関する分野など,今まで検討してきた実績を もとに業界と連携し,波及効果の大きいサービスを創りだしていく.国際コミュニ ティの醸成に関しては,現在我々が発信源となっているワークショップ活動を広げて いき,コミュニティとしての輪を広げていく. これを解決するためには,以下に挙げるような多岐にわたる技術分野からの検討が必要となります. * 前身である料理メディア研究会の設立趣旨[[CM研設立趣旨]]も併せてご参照ください. [#l9582348] + ユーザが求める機能の明確化 + 料理法や調理環境の体系化・構造化 + 家電機器ネットワークプロトコルからの検討 + 調理環境を構成するセンサネットワークの情報処理およびヒューマンインタフェースからの解明 + 健康科学分野との連携 料理支援システムは人間と機械が現場を共有するコミュニケーションの場であり,コミュニケーション研究の現場としても大変興味深いものです.料理にはレシピと言うシナリオがありこれを共有した上で,人間と機械がどのように共通の場で行われる操作を認識し協調してゆくかは,コミュニケーションの本質的な問題を含んでおり,この意味でも学術的にも大きな貢献ができる分野であります. 本研究会は,このような技術分野の研究者や技術者が,料理という分野,コミュニケーションに対する興味で集まり,料理を情報学の観点から体系化し,共通プラットフォームや新しいサービス創成するだけでなく,コミュニケーション科学の本質的な問題を議論する場として設立を企画した次第です. * 他学会・他研究会との違いと本研究会の意義 [#v6046051] 関連する研究分野には,ユーザの行動認識とそれによるマンマシンインタフェースに関する分野(例えば,パターン認識とメディア理解研究会(信学会PRMU),ヒューマンコミュニケーション研究会(信学会 HCS),ヒューマンインタフェース研究会(情処 HI),その他),実際に料理を支援するための知能ロボット(ロボット学会等),支援をプラニングするための人工知能(情処AI,人工知能学会等),その他多くの電子通信情報に関する研究分野があり,健康医学や福祉にも深い関係を持つ. 本研究会の特徴は,料理支援という実空間とタスクをはっきりと設定することにより,これらの異なる研究分野の交流をはかり,生活支援のための情報学,それを実現する環境としてのメディアとその要素技術の研究を促進することである.このような場はこれまで類を見ないものであり,異分野の交流による活性化とHCGのプレゼンスへの貢献が大いに期待できる. * 設立時の専門委員について [#ce627ba5] 美濃(京大)・佐野(大阪工大)・上田(京産大)らは,浜田(東大)・辻(情報技研)らと協力して,ユビキタスホームでの生活支援とキッチンにおけるその実践をNICTで行いました.その過程で多くの関連研究を発表しています.また,それと並行あるいは独立して,中村(京大)・浜田(東大)・井手(名大)・椎尾(お茶の水女子大)・中内(筑波大)らも,料理映像アーカイブ・料理プラニング・コンピュータ支援キッチン・料理支援ロボットなど,料理支援に関する研究を進めてきました.さらに,木村(関西医大)は,健康医学の側面から食事指導に関する研究を行っています.これらのメンバがコアとなり,料理支援を情報学的な面及び知的システムとしての面から議論する研究会の設立を企画しました.